ハンニバル

名作「羊たちの沈黙」、その続編です。手がけたのはリドリー・スコット監督。

羊たちの沈黙は本当におすすめです。なんとなくエログロのイメージがある方もいそうですし、実際私もそうだと思って恐る恐る見ましたがそんなことはなく、ちょっと死体こそ映り込みますがそんなもんです。

 見終わった印象ですが、ずいぶんメインキャストである二人のイメージが変わったなと。主人公?であるクラリスは、前作から随分クールになったな、という印象を受けました。物語上では十年も経っているので、色々な経験の上で、よく言えば”冷静”になったのでしょうか。

対してレクター博士ですが、これは少し残念な変わり方をしていました。前作ではもっと筋の通った、いわゆる”かっこいい悪役”であった気がしたのですが、なんだか小物になりました。彼の殺人シーンもだいぶ見劣りしましたね、前はもっと鬼気迫るものがあったように感じました。

加えて二人の関係性、映し方です。前作は基本的にクラリスの視点で動いていましたが、「ハンニバル」ではかなりレクター博士側の視点を見ることができました。孤高の存在であるはずのレクター博士の視点を映してしまっては、彼のカリスマ性が薄れるのもしょうがないというものです。それに、単純に作品1つ分の情報がこちらにはありますからね。

そして最後の晩餐シーン。あれが安っぽさの元凶なんじゃないでしょうか。私には「悪魔のいけにえ」の晩餐のシーンが重なってしまい、すさまじいB級ホラー感に悲しくなりました。

 

 

 

前は、前は、って言ってますが、正直あの「羊たちの沈黙」の続編なんて見劣りして当たり前ですね。初見の時は見ていて息が止まりそうになりましたからね、比喩でもなんでもなく。

 

結論を言うと、あまり考察することもなさそうです。面白いことには面白かったのですが、やはり観客が期待する続編を凌駕するというのは並大抵のことではありませんから。

しかしさすがはリドリー・スコット監督といったところで、舞台であるイタリアの景色の美しさとレクター博士の犯罪者としての美しさは見事に調和していたと思います。

 

 

今回もキリスト教だの聖書だのがキーワードだったっぽいのですが、さっぱりわかりませんでした。映画を見るたびに自分の不勉強さに泣きたくなりますね。