アメリカン・ギャングスター

少し前に「ブレードランナー」を見て、その旧作品とは思えない世界観の作りこみに感動して同リドリー・スコット監督の「アメリカン・ギャングスター」をいそいそと借りてきた次第です。

ブレードランナー」って「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」が原作なんですね。いつか読もうと思っていたのでなんだか得した気分です。

他の”いつか読もうと思っているリスト”には「ドグラ・マグラ」「我が闘争」なんかがあります。一生手に取らなさそうです。

 

あらすじですが、アメリカ合衆国はハーレムを拠点とした一人のギャングの成功と失敗、そしてそれを追う一人の警官の、いわゆるダブル主人公で物語は展開していきます。

ヤクザやマフィア、いわゆる”ならずもの”達の映画は数えきれないほどありますが、難しいですよね。彼らは一般人にはよくわからない専門用語を使いますから、多用されると話の理解が追いつかない場合があります。パンダとか、みかじめ料とか。正直この「アメリカン・ギャングスター」の冒頭は理解しきれませんでした。ふわっとはわかるんですが、仁義上等のやくざ者ならまだしも、アメリカのギャングと警察の関係性なんて知りません。勉強不足なのはそうなのですが。

そして任侠映画の見せ場は何といっても鉄火場です。何が言いたいかというと、視聴者をその鉄火場まで飽きさせないか、いかに”ならず者”の世界観、生き方を押し付けた上で見せ場につなげるか、それがこの手の映画の見せ所だと思うんです。

この映画の主人公であるギャング、フランク・ルーカスは血なまぐさいことを一切しません。淡々とクスリを売り、儲け、邪魔ものは部下に消させる。豪邸に住み、美人な奥さんもいる。本来ヤクザとはそういうものなのかもしれません。

一方でもう一人の主人公である警官、リッチー・ロバーツはすごいです。ガンガンぶっ放して危ない橋もガンガン渡ります。加えて奥さんとは離別、親権をめぐって裁判中。最終的な見せ場である大銃撃戦も彼の主導です。

 

お前ら逆だろって感じですが、この異常な対比が”平坦なやくざ映画”であるはずのこの作品にのめり込ませてくれました。それだけにラストの臨場感もすごい。

 

リドリー・スコット監督作品には「羊たちの沈黙」の続編である「ハンニバル」があるので、それもすぐに借りてこようと思います。あとはやくざ映画ですね、「アウトレイジ」しか見た覚えがないので、「ゴッドファーザー」「スカーフェイス」あたりも見たいです。